こんにちは、マネートレーナーの寺島です。
以前、以下の記事にて僕なりに現代の幸福論をまとめました。
読んでくれているでしょうか?もし、読んでいない人は是非読んでみて下さい。多分、損はしないと思います。
・・・・はい、後で読もうと思っているあなたのために
一応、上記の記事の結論だけ端的に言うと
- あなたの人的資本、金融資本、社会資本をバランス良く充実させよう
- 一番分かりやすく手っ取り早いのは金融資本から充実させるルート
という結論になります。
非常にシンプルですね。
要は「生きるためにお金のことを気にする心理状態から解放され、もっと自分にとって大事な活動や人間関係を充実させる方法を考えられるようになろう。それがこれらからの時代幸福に繋がりますよ」と
そして、その裏には
「お金の問題なんかにいつまで悩んでいるんですか?あなたの人生にはもっと大事なことがあるでしょう?」
という少し挑戦的な問い掛けも隠れています(笑)
是非、このメッセージを胸に刻んで今一度あなたの人生についてよく考えてみて欲しいのですが、 実はその「あなたの人生にとって重要なこと」を考える際に必要な能力があります。
今回はその能力のお話。
全体最適と部分最適
あなたは、「自分の人生にとって重要なこと」がいつも分かる状態でしょうか?
また、ビジネスの場や日々の生活でよくあることですが沢山の競合する問題が目の前にある時にきちんと自分の判断軸でもってその時最適なものを選択、決断できるでしょうか?
「今、自分にとって何が重要なことか?を見極める判断軸を持っている」というのは、とても重要な能力です。この能力は、ある意味で「切り捨てる能力」とも言えるでしょう。
実は、この切り捨てる能力は投資にも直結します。今何を残すべきか?何を切り捨てるべきか?これが自分なりに分かっていないと投資は上手くいきません。
頭が良い人ほど細かいことにこだわり判断軸が分からなくなっている
出来るビジネスマン(ウーマン)ほど、課題解決やそのフレームワークである数値分析に長けていることでしょう。
僕のところに相談に来る人でも、優秀な人ほど自分なりに細かく家計分析をしたり、現状保有している金融資産の詳細をよく把握していたりします。
僕自身驚くほどエクセル管理シートを自作したり、人によってはマクロまで使って高度な分析までしているのです。
しかし、一方でそんな人ほど自分達にとって今何が重要な課題なのか?どこをもっとも重視しなければいけないか?が分かっていないということが起こっています。
これは非常に面白いなぁといつも僕は思うのですが、彼らはあまりに詳細に個別の項目を管理しようとし過ぎて逆に全体の視点がなくなっているのです。
過去にも、以下のような悩みをもっている人が相談者がいました。
優秀なITエンジニアの夫と専業主婦のご夫婦で世帯年収は1800万円ほど、相談内容としては、これから子供が生まれて家を買おうと思っているが、どう考えてもお金が足りないのでどこが問題か教えてくれ、というもの。
年収180万円の見間違いじゃないですよ。世帯年収1800万円のご家庭です。
そして、この相談者は自ら作成したエクセル家計簿を見せながら言うのです「一つ一つの項目を自分たちで必要かどうか?何度も検討したけど、どう考えても皆必要なのです。固定費もこれ以上削減できないと思うし、変動費としても無駄なものは全て省いています。どこが問題なのでしょう?」と
はい、ここで考えてみましょう。
このご夫婦の家計は、月の手取りで100万円程度はあると思われます。通常、夫婦と子供一人の家庭でこれだけあれば余裕があるはず。もちろん、家を買うとしても無理をしなければ全く問題ない収入です。しかし、相談者はいつもカツカツで危機感を持っていると言う。
ここで、今回の記事のテーマになっている「判別する能力=切り捨てる能力」が出てきます。この相談者は、詳細にこだわるあまり自分の軸で判別することができず、本当には重要でないものを切り捨てることが出来なくなっています。言い換えると、部分にこだわり全体最適の視点がないのです。
だから相談者の目には問題点がいくら考えても見えない。部分にこだわっている限りそれは絶対に見えないでしょう。自分たちの家族や将来にとって何が大事なのか?今そのために何を切り捨てるべきか?どこを改善すべきか?の判断軸や優先順位が見えていない。
ですので、僕はこの相談者には以下のようにアドバイスしました。
「まず全体最適を考えましょう。自分たちはどれくらい月々貯蓄すべきなのか?その貯蓄額も現在の資産構成とライフプランをもとに必要額を考えることが必要です。そして、その必要なお金は本当に相談者の人生に取って重要なものなのか?を腹落ちさせるべきです。その上で、部分を見て切り捨てるものは切り捨てる。部分によって全体が犠牲になることは避けないといけません」
と
これに納得するかどうか?はその人次第です。いくらアドバイスしてもこの視点が伝わらなければ多分この相談者の家計は改善していかないでしょう。
また、以下のような例もあります。
既に資産が1億円以上あり、やりがいのある自営業をしながら月々の収支も大きくプラスの50代のご夫婦。仕事も身体が元気な限り続けるつもりとのことです。
そんな相談者が、「資産運用をしようと思っている。老後2000万円問題の件からも現在の家計に不安を持っており、このままで良いのか知りたい」とのこと。
詳細は省きますが、僕が分析すると、「資産運用なんかしなくてもこの相談者が現状の生活を続けるという条件であれば一生食うには困らない」という結論になりました。
こういう相談者の場合は、そもそも何のために資産運用をするのか?という問いから設定します。
いつも僕の視点は全体最適の視点です。その人の人生において何が重要なのか?何を達成したいのか?をよく聞きます。
その全体最適の視点からは別に今更リスクをとって資産運用(投資)なんてしなくてもお金に困ることはないし、月々40万円以上の貯蓄能力のある家計で数千円削るとか数万円年間でお得みたいな細かい家計最適化やふるさと納税の額を突き詰めることなんかは正直重要ではなぁと思ってしまう。この相談者へもっともクリティカルなアドバイスをするとしたら「お金のことなんか気にせず、健康に注意して楽しく今後も働いて稼いで下さい」というものになります(笑)
しかし、相談者にとってはやはり肩透かしというか、中々腑に落ちない様子。多分、「もっとここを改善しましょう!」とか「ふるさと納税はこれくらいやるとこれだけお得になりますよ!」とか「是非運用して大きく増やしていきましょう!」とかいうのを期待していたのでしょう。
ちなみに、この程度の分析なら1時間の無料相談内で可能なのでこの時点で費用はかかっていません。だから、この相談者さんからは「お金払うのでもっと詳細にやって下さい」と依頼されました。しかし、話を聞く限り詳細にやってもこれ以上の結論はなさそうですしお互いにとって無駄になると思われるので丁重にお断りしました。
データから何を読み解くか?どう解釈するか?
僕が基本とする思考は、B/Sを中心とした会計的な思考です。
もちろん、これはB/Sを作成できるとか家計簿を作成できるという知識やスキルのことだけを指しません。
よく、会計に強くなろう!と簿記の資格を取る人がいますが、僕が見る限り簿記の勉強をしても会計的な視点は手に入りづらいと思います。なぜなら、簿記の視点は”部分の積み上げ”だから。暗闇の中登山するようなものです。自分が今何号目にいるのか?方角は合っているのか?等々手探りでただ目の前の一歩一歩を歩く感じ。一歩一歩上に向かって歩いていたら気づけば頂上についていた・・・あれ?果たして自分はこの山のことを理解したのか?というのが闇雲に簿記を学んだ人の感想でしょうか。上に一歩一歩歩くことは分かったけど、全体像が見えないのです。これではいつまで経ってもお金の流れや会計の勘所は分からない。
もし、会計に強くなろうと思うなら簿記からではなく会計の全体視点から学んだ方が良いでしょう。
正直、B/SやP/L(家計簿)を作成する能力は今回テーマになっている「重要なことを判断する能力」には直結しません。
上記の相談例の通り、今に時代エクセル等でデータを集計すること自体は多くの人に可能でしょう。問題は、そこから何を読み解くか?どう解釈、判断するか?です。
僕のところへ相談に来る人は、このデータから重要なことを読み解く能力を欠いているから相談に来きているはず。データの森で迷子になっているのです。
先ほどの登山の例で言えば、登山道の地図だけ手に入れて実際の準備やコンパスの読み方などサバイバル術、登り方は知らない感じ。「いや、地図はあるんですよ。でも安全な登り方が分からなくて・・・」と途方に暮れています。
実は、僕は仕事としてこの全体最適の視点やデータから自分に重要なことを読み解くことも教えています。というか、私たちが幸福になるためにこれは必須能力なので当然ですね。
是非、あなたも全体最適や本当に自分にとって重要なことを判断できる能力を身につけて下さい。ほとんどの場合、大事なことは部分ではなく全体です。しかし、真面目な人ほど、優秀な人ほど細かい点を気にして突き詰めてしまいます。そういう人は、一度立ち止まって「その部分は全体にとって大きなインパクトを持つ部分なのか?」をよーく考えてみましょう。
ポイントは、重要なことを見定めてシンプルに考えてみることです。まさにイシュー(課題)から始めよというお話。イシュー(課題)が固まっていない中闇雲に部分にこだわることは迷子になるだけです。
今回は以上です。それではまた。