ライフネット生命の誤算

こんにちは、マネートレーナーの寺島です。

本日も保険について。

先日、ネット生保のパイオニア、ライフネット生命の岩瀬社長がこのような書き込みをしていました。

 

保険会社の社長が、SNS上で繋がっている人へ向けて「特段の事情がないなら、ちょっとくらい面倒でも」という自己都合を押し付けているように見えます。これはいわゆる「お願い営業」であり、顧客のことを考えるならちょっとどうかな?と私は思ってしまうんですが、貴方をどう感じるでしょうか?

社長自らがなりふり構わない「お願い営業」をしていることを象徴するようにライフネット生命の業績はかなり落ち込んでいます。

カブタンより

売上高は伸びていますが、経常損益、最終損益は大幅なマイナスです。

売上げ自体も、新規契約数の成長率が落ちており厳しい状況。

ネット生保のライフネット生命は、ネットで完結する分の営業コストを削減したコスト面と分かりやすい商品性を武器に新しい保険契約のあり方としてアピールしてきました。また、付加保険料率を開示して業界に一石を投じてもいます。

※付加保険料とは、私たちが払う保険料のうちの経費部分のことです。保険料は私達の保険金に支払われる原資になる純保険料と、保険会社の経費部分の付加保険料に分けられます。

 

しかし、当初の思惑は叶わず大きな壁にぶつかっています。

(参考記事→「ネット生保の先駆、ライフネット苦戦の理由
出口治明会長、忸怩たる思いを率直に語る」 )

 

顧客の金融リテラシーの低さと保険の複雑性

保険は、そもそもややこしい商品です。素人には理解し辛く、細かな条件があります。そんな商品性を持っている上に、一般顧客の金融リテラシーは低く、自身の必要補償額やカバーすべき状況がわかっていません。

多分、この記事を読んでいる方の中にも自分にはこういうリスクがあり、必要補償額はこれくらいは必要だろうと自分で見積もれる人はほとんどいないでしょう。

今の仕事をしていて感じることですが、一般的に自分のライフプランやファイナンシャルプランを細かく考えたことのない人が9割以上です。「まあなんとかなるだろう」「漠然とした不安はあるけど行動に移せていない」という人が大多数を占めます。

そのような人が、ネットで見て理解して、保険という大きな買い物をするか?というと、そんな豪気な人は少ないと考えられます。

「分かりやすい商品性」「価格競争性」に注目したライフネット生命側もそれには初めから気づいていたと思いますが、想像以上だったんじゃないでしょうか?

そもそも、自分に必要な保険がわかっていない人に価格の話をしてもしようがありません。

相場を知らない子供が、お使いを頼まれスーパーに行き1000円の卵を買ってくるようなものです。いくらが安いのかが分からない人に価格競争力は働かないでしょう。

また、現在でも保険営業の主流は対面営業であり、人情営業です。これは個人的には古いやり方だし、どうしても余計な保険にも入りがちなので疑問を持っていますが、対面で事細かにコーディネートしてもらうことを顧客は期待しています。

これも子供のお使いで、実演販売の試食コーナーがあり、そこで説明されたら言われるがままに買ってしまうことに似ています。「これはいいですよ!」「あなたにピッタリです!」と言われれば「そんなもんか」と思って買ってしまいますよね。そんな時に他の商品と価格を比べるでしょうか?

※そもそもライフネット生命の保険は割高だという意見もあります。そうなると売りはほぼなくなりますね。分かりやすい商品性も顧客側が自分に必要なものを理解してないと意味を持ちませんし。(参考記事→ライフネット生命に入ってはいけない

 

まとめ

保険という金融商品は、未だに専門家にコーディネートしてもらうものです。少なくとも現代では、ネットで気軽に契約するものでは無いでしょう。(ライフネット生命も対面販売の必要性に気づき、「kddi」、「保険の窓口」と提携しています。最近、auの販売店で保険の営業してますよね)

いくら個人の金融リテラシーを向上させて自分の必要補償額を理解していても、商品の複雑さという根本的な問題もありますので、対面販売が優勢なのは今後も変わらないと思います。(逆にネット保険が大きなシェアを占めた場合は、色々な問題が想定されます。)

私は、これらの総合的な問題解決法は中立的なアドバイザーを間に挟むことではないか?と考えています。保険販売の人に直接相談すると、どうしても販売手数料がチラつき、顧客に本当に良い商品が提案されない可能性があります。

このサイトでは何度も言及していますが、保険販売側と顧客側は部分的に必ず利益相反の関係なのです。更に、保険販売の人は老後資金や教育資金、税金対策などすべてを保険で解決するように提案してくるので、これは明確に顧客にとって最善な提案ではないことが多いでしょう。

ですので、販売と相談は分けるべきです。中立的に相談に乗れる人にまず話を聞きましょう。ちなみに、一般的にファイナンシャル・プランナーを名乗っている人の9割超えは結局は保険販売者ですので、注意してください。確認する方法は、「あなたは、保険販売コミッション(手数料)で生計を立てていますか?」と質問することです。

以上、保険の難しさ、顧客側の相談先についてでした。

まず、自分に必要な保障額、リスクを確認することが先決です。そして、それに合わせた保険提案をしてくれる人を(できれば)保険販売者ではない人に相談しましょう。

私のところでも相談は承っています。

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