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資産運用は「リスク許容度」ではなく「リスク理解度」が大事
証券会社や銀行へ行き投資の話をされると必ず聞く単語が「リスク許容度」です。
ほぼ100%「あなたのリスク許容度に合わせた投資をしましょう」と言われます。
しかし、「リスク許容度」なんて自分で分かりますか?いくつか質問されて、機械的に「リスク許容度」は弾き出されますが、それは本当に正しいんでしょうか?
例えば、「マーケットが大きく下げた時にあなたはどうしますか?」という質問への答えが、
- 「急いで売る」
- 「急いで買う」
- 「静観する」
の三択だった場合、この答えに関するリスク許容度判断はバカみたいに分かりきっています。
「急いで売る」を選んだ人は、リスク回避的な人だ。
「急いで買う」を選んだ人は、リスク選好の人だ。
「静観する」を選んだ人は、中間の人だ。
ということです。
こんな単純な質問を積み重ねてあなたのリスク許容度は測られます。そもそも上記の質問はある程度投資経験がある人や金融リテラシーのある人にとっては、答えが出せないものです。
つまり、「売買するものが特定されていないので答えようがない」が金融リテラシーの高い人の答えです。
モノによっては、「売るべきモノ」もありますし、モノによっては「買うべきモノ」があります。それは投資対象によって変化するのものです。このような全体に対しての問いにはあまり意味がありません。
金融リテラシーが高いほどリスク許容度が高い
金融庁が作成する「金融レポート」において、投資経験がある人ほどリスク選好的であり、投資経験がない人ほどリスク回避的であると報告されています。
当たり前ですね。
経験のないものを怖がるのが人間です。
「いくらまで損を許容できますか?」という質問を見ても分かる通り、投資経験がない人にリスクに関して尋ねる場合、不安を煽ることと同義なのでリスク回避的になるのは当然。
投資初心者にリスク許容度なんて聞いても分かりません。
投資初心者においては、とりあえず投資を少額から始めるのが大事。
まず小さくやってみる。
投資経験を積むことが第一です。
リスク許容度は、経験の末にわかってくるでしょう。
まず投資をやってみることを勧める理由は、以下の資料によります。
各国における一定期間の金融資産増加率は投資比率が高い国ほど金融資産は増加していました。
95`からの20年間を見ると金融資産の運用リターンでアメリカは2.32倍にもなっているのに日本はわずか1.15倍に止まっています。
これは、端的に投資に回っているお金が少ないことが原因です。
ご覧の通り、日本人の家計金融資産の半分以上は現預金。
日本においては、投資比率が著しく低く金融資産はほとんど増加していません。
現預金に資金を置いているということは、つまりゼロ金利のご時世、全くお金を生まない金融資産に資金は配分されているということになります。
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なぜ投資経験がある人ほどリスク選好的なのか?
それは、「投資とはどういうものか?」「リスクとはどういうものか?」が実感できるからです。
人は分からないモノに恐怖し遠ざけようとする性質がありますので、一度経験し理解さえすればそんなに怖いものではないことも分かるでしょう。
金融リテラシーが高い、つまり投資について理解度が高い人ほど投資に積極的であり、逆に「投資しないリスク」も理解しています。
少し前に有名になったピケティ教授の「21世紀の資本」という本でも言及されていますが、資本主義の世界では一貫して投資をしていた方が金融資産は増えています。
私のこれまでの投資初心者の方に関わった経験でも、投資を実際にする前とした後では「リスク許容度」は大幅に変化しました。
「あーこういうものだったのか」という経験と理解によって、じゃあこの投資対象に投資するならこれくらいのリスクが自分には合っているなと自覚出来るのです。
まとめ
証券会社や、銀行のリスク許容度という言葉は一旦忘れましょう。
機械的に弾き出されたリスク許容度をもとに言われるがまま投資をした人を知っていますが、「こんなはずじゃなかった・・」と言っていました。
その人は、リスクについてよく理解していなかったので短期的な僅かな損も受け入れられなかったのです。(長期的にはプラスになったとしても)
おそらく、投資を小さく始めて経験を積むという段階を踏めばそんなにオタオタしなかったでしょう。心も安定し落ち着いて推移を見守れたと思います。
真に問題なのは、ぼんやりとしたリスク許容度ではありません。自分の「リスク理解度」です。リスク理解度を上げるためには経験が必要ですし、金融リテラシーの向上も必須。是非、これを読んだ貴方は「リスク理解度」を上げて一歩踏み出して下さい。
リスク理解度を上げる方法は以下で紹介しています↓