こんにちは、マネートレーナの寺島です。
「前回の記事」
前回の記事のお話で、インデックス投資は以下の二つの目的に適していることが理解できたと思います。
- 既に資産を持っている人の資産価値維持
- 長期の資産形成
それでは、短期的にある程度の資産を形成したい人はどうすれば良いでしょうか?
ちなみに、ここでの短期とは20年以下の期間を想定しています。
ここから、10年以内、5年以内と資産形成の期間を短縮したい人はこれからご説明する戦略を過激にすれば足りるでしょう。
では、結論から言います
その戦略とは、入金力と投資力をガンガン強化することです。
Contents
入金力強化
こちらは、要は稼ぐ力&投資に回すお金を残す力の強化です。
月々、投資に回す資金が増えればその分、資産増加は加速する・・・
当たり前ですね。(笑)
特に資産額が1000万とかまでは投資の運用益よりも入金による資産増の方が影響が大きいです。
目安としては最低1000万円、出来れば3000万円前後までは入金力を重視しましょう。
例えば、投資でお金を増やそうと考えていても、月々2万円ほどの入金力では年間24万円しか元本は増加しません。その24万円を10%というインデックス投資を超える高利で運用できたとしても1年間で得られる運用益は2万円ちょっと・・・
投資による運用益が全体の金融資産へインパクトを持つのはやはり1000万円を超えた辺りからだと思います。
1000万円であれば10%運用益が出た場合、年間100万円資産が増加します。100万円なら大手企業のボーナスと同じくらいなのでインパクトは大きい。
ということで、短期で資産形成したい人はまず1000万円を死ぬ気で貯めましょう。
当然、その間もコツコツ投資し続けても良いです。
世界一の投資家であるウォーレン・バフェットの本のタイトルは「スノーボール」。
初期に投資で利益を大きく狙うよりもまず、雪玉の芯を大きくしましょう。
雪玉の芯をできる限り大きく作り、転がせばあとは雪だるま式に資産が大きくなっていきます。
投資力強化
前段は自分を働かせることの強化についてでした。
次は、お金を働かせることの強化。
投資力の強化というと、端的に言えばインデックス投資を超えるリターンを狙うことを言います。
具体的には長期平均複利で10%以上。
それ以下しか達成できないのであれば、おとなしくインデックス投資をした方がマシです。
実際のところ、これは可能ですがある程度の努力が必要。
参考までに僕の約15年間の投資歴のおける平均パフォーマンスは年利21%ほどです。
しかし、経済や投資の勉強を多少でもかじったことのある人は、インデックス(平均)に勝つことは非常に難しいという”常識”を聞いたことがあるのではないでしょうか?
投資信託に関しても、ファンドマネージャーが自分なりの判断で運用するアクティブファンドの8割以上は長期でインデックスに勝てないというデータがあります。
多くの人にとって、インデックス投資が無難な投資法である理由はこの点からも説得力があるでしょう。
僕自身も、基本的にはインデックス投資がオススメです。
さて、少し難しい言葉で説明するとインデックス投資が優位とされる世界は基本的に効率的市場仮説の世界です。
効率的、つまり全ての情報は株価にすぐに反映されてギャップ(超過利益)は生まれない世界。
しかし、個別株投資をやっている人においてはよく見ることですが、昨日と今日で20%も株価が違うということが結構頻繁に起こります。
昨日と今日でその企業の本質的な価値は20%も変化したのでしょうか?
最近は、トランプ大統領が何かツイッターでツイートしたといった情報で株価は乱高下します。
本当にギャップは存在しないのか?
僕が長年投資をしてきての結論ですが、市場は概ね効率的だけどギャップも多々生まれているという考えです。
実際に、僕はそのギャップによって市場平均を上回るパフォーマンスを出せていると理解しています。
では、ギャップとはなんなのか?
市場の効率的ではない領域
個別株の投資戦略についてあまり詳細に書くと膨大な文章量になりますし、このブログの趣旨ともズレてくるので概要だけ簡潔に書いていきます。
以下では、僕が考える市場に存在するギャップ(効率的でない領域)についてざっとリストに挙げてます。
- 時価総額の小さな企業の株
- 流動性の低い企業の株
- 短期的に不自然な値動きをしているタイミング
- 短期的な全体暴落時
- 一部の低PBR企業(バリュー企業)
- 長期の利益成長予測やビジネスモデルに関係する領域(高利益率企業の過小評価等)
- その他
一応、前述の通りこのブログは僕が投資家として個別株投資を語るブログではないので、各項目に興味がある人はご自身で勉強してみて下さい。(また気が向けば、このブログでも書く機会があるかもしれませんが・・)
ちなみに、上に挙げたギャップは「小型株効果」「バリュー効果」等々のアノマリー(効率的市場仮説と矛盾するような金融市場の価格およびリターンのねじれ現象をさす。by wiki)としてもよく指摘されています。
更に、ノーベル賞を受賞し効率的市場仮説の提唱者でもあるユージン・ファーマ教授も効率的市場仮説の後に「小型株効果」や「バリュー効果」を含んだ3ファクターモデルなども発表しています。(3ファクターモデルなどは非常に複雑で専門的な理解が必要ですので、ここではざっくりした意味で使っています)
「参考→ユージン・ファーマ教授について」
個人投資家の優位性
また、簡単に個人投資家の優位性についても書いておきましょう。
よく、投資のプロであるファンドマネージャーや機関投資家等のいわゆる市場のクジラを敵に回して個人投資家が勝てるわけがないということが言われますが、これは明確に嘘です。
全然個人投資家は勝てます。
というか、機関投資家等の土俵で戦わなければ良いのです。
機関投資家等、市場のクジラの土俵は大型株を対象とした領域や短期トレードの領域にあります。クジラ達は自分達の図体の大きさ(資金量)によって必然的に時価総額の大きな大型株を主戦場としています。
そして、機械トレードなど超高速の売買システムや一定の空売り制限なしなど個人投資家には使用不可な武器を駆使できる短期トレードの領域でも彼らが優位です。
一方で、クジラ達は一定期間での成績を会社や顧客から求められており、そこに縛られています。(ファンドマネジャー達もサラリーマンなので評価を気にします)
例えば、投資信託(ファンド)では、株価が暴落したタイミングで怖くなった顧客が換金したいと言ってきた時には投資している株を売って現金化しなければいけません。ファンドマネージャーとしては今売るのは得策ではないと考えていても顧客には逆らえない。パフォーマンスを落とすと分かっていても、その縛りによる不自由な選択肢の中で彼らは動いています。
また、ファンドマネジャーは、他のファンドとの成績の差も上司から詰められます。
これはつまり、各ファンドは横並びの保有株になっていくということを意味します。皆持っているトヨタ株を保有しておけばそこに差は生まれません。しかし、トヨタではなく別の急成長しているけど無名の株を持っていて成績に差が出たらそこは説明責任が生じます。チャレンジしてリスクを負いたくないのがサラリーマンの人情。
これらの要因が相まって、結果的にインデックスと似たようなポートフォリオになり、余計なコストや不合理な売買の結果、インデックス運用に劣後するのです。
個人投資家はこれらを逆手にとれば良い。
個人投資家には、第三者から「換金しろ」という要求もありませんし、誰かに期間ごとの成績を報告する義務もありません。また、他の人との成績比較もされることもない。諸々の縛りがないことは個人投資家の大きなアドバンテージです。
自分の見込んだ時価総額100億程度の会社の株が一年二年下げていても信じて保有し続け、5年後に3倍になっているとか普通にあります。機関投資家や大手ファンドはこのようなことは基本的に出来ません。
通常、投資は資金の大きい方が有利ですが、考え方や戦う領域によっては資金が小さい方が有利な場合もあるのです。
まとめ
以上、
資産形成期の人の戦略についてでした。
前回の記事でも書いた通り、若者の方が投資でリスクが取れます。
なぜなら、若者はまだまだ投資元本も小さくその時期に失敗してもせいぜい数十万円の損失。
これは例え、投資で取り戻せなくても労働収入によって短期で穴埋め可能です。
投資は、他のことと同じでいきなり安定した結果を出せるようにはなりません。小さな投資額から試行錯誤をして自分なりの投資スタイル、哲学を構築していくことが必須になります。
だからこそ、資産形成は若いうちから始めるべきなのです。
僕のところに投資の相談来る方にも、65歳を超えた年配者で投資経験もない場合は少額からインデックス投資を勧めるのみに留めています。
理由はお分かりの通り、リスクを取る余裕がもうないから。
既に攻めるよりも守る比重が高くなる時期。そこで過度なチャレンジをすることは人生を変えてしまいます。
それでは、お読み頂きありがとうございました。
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