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こんにちは、マネートレーナーの寺島です。
今回は、「保険で騙されないための金融リテラシー」ということで書いていきます。
先日、このような記事を読みました。
→「金融教育」欠如がもたらした詐欺被害400億円の深刻
https://diamond.jp/articles/-/185725?display=b
全く同感です。
僕も常々ブログでも書いていますし、コンサル時にお客様へも伝えているんですが、金融リテラシーはお金を増やすだけではなく、知らないうちに損しないために重要だと言っています。
自分のお金を増やす、お金を守る。
それは表裏一体。攻撃にも防御にも重要。
[参考記事]
ということで、今回は「保険で損しないための金融リテラシー」について。
保険の本来的な使い方の確認
保険はいうまでもなく、いざという時の金銭的保障です。
保険の利用価値で最大のモノはこれ。
シンプルに表現すると
「契約中に一定の保険事故が起こったら約束された保険金が支払われる」
というもの。
これだけじゃ、当たり前のことをリピートしただけに見えますので、
より具体的に
- 保険の保障機能とはどういうものなのか?
- 保険契約者にとって有利な点はどこなのか?
という点を確認したいと思います。
保障機能
まず、保障機能とはどういうものなのか?
ここで、重要な点は、「約束された保険金を支払う」という点です。
で、更に言えば、「約束された」が重要。
どういうことか?
例1
自動車を運転していて人をはねてしまった場合、必要な保険金額はいくらでしょうか?
簡単に想像が付くと思いますが、この場合、少なくて数百万円。相手の状況によっては億単位の金額が想定されます。
つまり、この例の場合、事前に約束する保険金額は最大億単位の補償額が必要となります。
例2
独身で80代の母親が一人実家にいる40代の男性が入るべき生命保険はいくらでしょう?
追加情報で
実家はローン支払い完了しており、現在かかるランニングコストは固定資産税と多少の修繕費です。
父親が残した預貯金もある程度あり、年金もあるので母親が残りの人生を送るにはあまり心配ない状況。
・・・さて、この40男性はいくらの約束で生命保険に入るべきでしょうか?
この場合に考えるべきことは
仮に、この男性が亡くなったとしてかかるお金です。
残される家族がおらず、唯一の親族の母親に金銭的な不安はない。
とすると、自分が亡くなった場合の後始末代のみ残せば良いことになります。
これは、葬儀屋お墓等多く見積もっても200万もあればこと足りる話。
200万くらいであれば、貯蓄でも対応可能ですし、保険に入るにも掛け捨てで保険金額200万の保険で十分。月々の保険料は1000円以下です。
この男性が2000万、3000万を約束した保険を契約する必要性はありません。
約束は適度に過不足なく
上の二つの例の説明で、「約束」について僕が何が言いたいか分かってきたと思います。
そうです。
「約束」は適度にすべき。
事前に保険で備えるリスクが発生した時の金額を見積もりましょう。
そして、その金額の幅の範囲内で保険金額を約束すべきです。
例2のように、過剰に高い保険金額を約束する必要はありません。
約束する保険金額が高ければその分毎月支払う保険料も高くなります。
逆に、例1のように起こりうる損失額よりも少ない約束ではリスクに備えたことになりません。
説明されてみれば当たり前のことですが、事前に適切な見積もりがされていない人が多数います。
その大きな理由は、ほとんどの人が保険屋さんの提案する見積もり説明しか見てないからでしょう。
保険屋さんは、保険を売りたいわけですから、大げさにリスクを語ります。
僕は、実際に例2のような保険契約をしている人を何人も見ているのです。
そんな時、僕が相談に来た人にこう問いかけます。
「そんなに保険金いりますか?」
「残された80代のお母さんが〜さんが亡くなって3000万円もらう必要がありますか?」
当たり前ですが、全員「いや、いらないですね」と言います(笑)
ちゃんと説明されれば必要ないことは分かるのです。
保険契約者にとって有利な点はどこなのか?
次に、二つ目の確認。
保険は契約者にとってどこが有利な点なのか?
これも当たり前のことの確認です。
保険契約の有利な点。
それは、保険契約が成立すれば保険料を一回しか支払っていなくても約束された保険金は全額支払われるという点です。
これは、よく三角と四角という説明をされます。
つまり、貯蓄でその保険金額を用意しようとすると徐々に積み上がっていきますが、保険なら1日目から保険事故が起これば全額保障されるという点が保険の有利な点です。
例3
保障額が4000万円の生命保険に加入中のAさん(40代)がいます。
Aさんは、子供二人の家族もち。
加入中の生命保険はAさんが万が一亡くなった場合の遺族が生活していくための資金保障です。
この4000万円を貯蓄で用意するとなると気が遠くなってきますね。
仮に毎月5万円づつ積み立ててる途中、5年後Aさんが亡くなった場合、貯蓄は300万円ほどしかありません。
これでは、残された遺族が食べていくには全然足りない・・・
しかし、このリスクに対して保険なら契約成立直後から4000万円全額が支払われます。
支払った保険料が1回だろうが100回だろうが同じ金額が支払われる。
これが保険の契約者にとって有利な点です。
保険を利用する際のポイント
以上より、保険を利用する際の大事なポイントがわかりました。
それは、「過不足ない保険金額を見積もり、預貯金では到底対応できない金銭的リスクに保険を利用する」というものです。
ここでまた、補足ポイントが出てきました。
それはこの文言
「預貯金では到底対応できない金銭的リスク」
です。
これはつまり、先ほどの例3の話で言えば元々資産持ちの家系で既に3900万円ほど資産がある場合、不足金額はわずか100万円ほどなので、わざわざ保険に入る必要もないという判断がありうるという意味です。
100万円くらいなら貯蓄で対応できます。
保険の利点は初日から全額支払われるという点であると説明しましたが、100万貯まるまで一年二年しかかからないのであれば、流動性が縛られる保険なんかより預貯金の方が有利です。
(流動性→お金の動かしやすさ、使い勝手と理解してください。保険の場合特定の事象にしか使えなくなります。Aさんが亡くなった時しか使えない100万円と家の頭金にも使えるし、子供の学費にも当てられる、家族旅行資金にも使える100万円では使い勝手が全く違いますよね?)」
話を戻しましょう。
保険は基本的に最悪数千万以上の被害額になるリスクにかけるものです。
起こったとしても100万円以下の被害額にしかならないものに保険は必要ありません。貯金した方が流動性の点からもマシです。
被害額100万円〜1000万円の間は悩むところ。
その人の保有する資産状況や起こりうる確率によります。
個人的には2、300万円くらいまでの想定被害額なら保険は入る必要がなく、500万円以上までありうるなら保険も検討する感じ。
しっかり、あなたの場合に必要な保険を考えましょう。
貯蓄機能に関して
保険契約者の半分以上は、貯蓄機能を目的にしているというデータがあります。
先ほど説明したのは、保険の保障機能でしたね。
保険の貯蓄機能とは、その名の通りお金を貯める(増やす)機能のこと。
しかし、現状僕はこの貯蓄機能は無駄で割に合わないと思っています
保険の貯蓄機能は2018年現在、良くて年利1%程度。
運用目的で保険を利用するのであれば、ゴミみたいな利回りです。
それ以上に保険の貯蓄機能利用はデメリットが大きい。
保険は、運営コスト(付加保険料と言います。要は保険会社の経費)もかかりますし、流動性も極めて悪いのです。
保険契約後、十年は解約しても元本割れとかザラにあります。
貯蓄目的で保険契約をしたのに、何らかの事情で早期解約した時に元本割れした金額しか返ってこなかったという例は普通にある。
満期まで継続したとしても雀の涙ほどの利回りしか得られない上に、流動性が死んでおり、タイミングによっては元本割れまである金融商品を運用目的で利用することは全く割に合わないと僕は思います。
ということで、
保険をかけるなら万が一起こった時に致命的な金銭的ダメージのリスクへ最低限。資産運用は保険とは別でやる!
が保険を考える時に知っておくべき金融リテラシーです。
上記の条件以外で入る保険は知らないうちに損する確率が非常に高いので要注意。(医療保険とか典型的ですね)
是非、自分を守るためにお金の勉強をしましょう。
金融リテラシーを身につけることは人生レベルで言えば最適で、最高の投資となります。
記事下に、資産運用を考える上での鉄則をまとめた無料e-bookがありますので、金融リテラシーを向上させたい人はダウンロードしてみて下さい。